誰にも縛られたくないと、逃げ込んだこの夜に、自由なれる気がするカレー
千歳船橋はKalpasi(カルパシ)にてJapanese Thaliを。
実は2回目である。スパイスなお友達池田さんの予約枠に入れてもらった。そう、ここは予約困難店。
予約は毎週金曜夜22時にLINEでしか取ることができない。ありがたや。
メンバーはさらにダルバート食堂マリさんと、マツコの知らない世界でもレコメンさせていただいた伝説のインド料理人マハさんという濃いメンツ。
マリマハである。マハマハ。
前回は本当にオープンしたばかりの時に伺ったので、世界を巡るこのコースは無かったように記憶している。
カルパシさんでは週替りでテーマの国にかけたカリーコースが堪能できるのだ。
そして、今回は日本。和食とカレーの融解を試みる魯山人もびっくりな哲学的コースなのです。
まずはスターターと名がつく「蕎麦の実ご飯と山菜ダル」です。
もう…. 美味しい… いきなり… 美味しい。
すぐにお酒が欲しくなるんですけど、これがまたね。
山椒芋焼酎 AKAYANEがあるんですよ。
You know スパイスには敢えてクセ。わかるー。このぶっつけかた共鳴しちゃう。
そして、メインターリーですわよ。
どうですか。もう美しいじゃないですか。日本らしさがインド食器の上で映える。
ひとつずつご紹介していきましょう。
「鴨南蛮カリー」
スリランカもMIXスパイスと醤油ベースの和だし汁
「鰆と金柑たまたまカリー」
生食用皮ごと食べられる金柑たまたま入りフィッシュカリー
「独活(ウド)とアレッタと豚ひき肉」
ココナッツと酒粕ベースのシチュー
「梅海苔しらすラッサム」
梅をベースにした酸味のあるスープにヒトエグサとシラス
副菜郡は、
・卵黄のマサラ醤油漬け
・里芋とあおさとヨーグルト
・芹のポリヤル
・レディーサラダ大根と柚子のアチャール
全部刺さった。芹のポリヤル美味しかったな。
日本らしさを海外の食文化にぶつけて再構築
僕は去年、ベトナムとタイでメッタメタに食いまくる旅をしてきた。
アメリカ南部のケイジャン料理とベトナム料理をフュージョンさせたバーベキューソースのエビ料理や、タイのおばあちゃん料理を現代的にアレンジするモダンタイ料理を食べてきたんだけど、帰国したら、急激にドメスティックな視点でカレーを作りたいなーって欲求が高まった。上手く言語化できないけど「自国の料理を軸にする」姿勢みたいなものを感じたというか。
そんなだったから、このコースにはとても感動した。本当に非の打ち所がない。鴨南蛮カリーの完成度。鴨と甘みと醤油をちゃんと感じて、でも蕎麦屋のカレーではないのだ。独活(ウド)とアレッタのひき肉のシチューは酒粕がベースになっている。発酵が入って見事にまろやか。
梅とシラスのラッサムは、たんどーる塚本さんの和ッサムに材料は近くもあるが全く違う。横でマハさんが、このシラスはアチャールにしても絶対うまいと言っていた。なるほど。さすが、南インドのスーパーシェフだ。ラム・コークをガンガンあおっていたが、カレーの弁は研ぎ澄まされていた。
一通り感動して、最後は大葉のジェラートを。
最後までなんじゃこりゃ!は続く。
誤解を恐れずにいうと塩加減がヤバイ。甘いだけじゃない。
大葉の美味さがちゃんと残っている。すんげえな。
kalpasiさんはジェラートのお店を作ると聞いたが、これなら納得。
うなずきすぎて首もげそう。
このカリーコースが、ネパールだったり、中華だったり、インドのベンガル地方だったりで変わっていくって異常すぎない?いつ勉強とか試作とかしてんだろうか。シェフ黒澤さんは、遊びですよー、なんて言うんだけど、全然遊びじゃない。マジで天才肌だと思う。
圧倒的に美味かった。本当に縛られず、こちらまで自由になれる気がする、そうこれは尾崎。尾崎だったか。
尾崎豊なカレーでした。
そして、この日はもうひとつ嬉しいことが、カレーおじさんこと、AKINO LEEさんと初めてお会いしたのだ。
毎日カレーを食べて14年。連続カレー3兄弟の大先輩だ。
しかも年間1000食とか食べてらっしゃる日本カレー界の超人である。
声が聞こえた時、まさか!って振り返ったら御本人だった。現場(カレー屋さん)でばったり会えるの超嬉しい。
御挨拶させていただいたけど、とってもきさくで素敵な人だった。
いやー、いい夜でした。
最後にマハさんの20代の頃の写真を載せておこう。
まず、なんの脈略も無しに、いきなりこの写真を見せつけてくるメンタリティに感服する。
それは衝撃的なものだった。若さとは何か。世界は広い。でも、わかったことがある。マハさんは、野見さんに近い。
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