知らない土地に来たならガイドブックは見るな。カレーを食べろ
いいときもわるいときもカレーはいつも横にありました。
家庭崩壊の波を受け、家では風当たりというスパイスが非常に強く、闘いに行っている海外遠征の時間が癒しの時間となる、そんな摩訶不思議なカレーの思い出を記していきます。家庭を壊している真っ最中でもカレーは美味しかったです。
シンガポールにはインド人街「リトルインディア」があります。
世界各国に行くと中華街だったり、韓国街だったり、ベトナムコミュニティーだったりが存在していて、そこで食べる料理は本場顔負けの味だったりします(まあ本場で食べたことってないんだけど)。カレー好きとしてインド人街でカレーを食べない理由は見つからず、インド人街での食事を楽しみにリトルインディアに向かいます。
ちなみにシンガポールのリトルインディアは、観光客が安い土産を買い求める「ドンキホーテ」的なショッピングセンターである「ムスタファセンター」があります。ここはバラマキ土産を買うにはもってこいの場所でして、やっつけ仕事的にお土産を調達するにはもってこいの場所です。
リトルインディアのインド人に紛れて路地を歩いているとローカルなお店をいくつか見つけます。
レストランではなく、食堂でして、ガイドブックには載っていない類の店です。なかなか入りづらいのだけれども、勇気を出して入ってみます。作り置きの料理があって、指をさして注文するスタイルです。
カレーであることは確認できても種類までは目視ではわからないので、店員さんと片言の英語で話します。「チキン」「マトン(羊肉)」「ダル(豆)」などの単語でまあなんとかなるものでして、注文に困ることはないです。注文自体は英語が下手でも、なんとかなるものだし、恐れることはないです。日本人は控えめだけれども、飛び込んで見ればなんとかなるし、それ自体がエンターテイメントなのです。
量だけは日本人の常識の遥か上を行くことは多々あります。
残すことは失礼にあたる文化と教育の中で、生きてきた僕としては毎回控えめに頼むことで頼みすぎ問題を未然に防いでます。ただ今回だけは、その警戒心では対応することができませんでした。
2人だったのでシェアすることにして、お米は1つで、チャパティ(全粒小麦粉を使用し、発酵させず円型に平たく焼いたパン)を1つ頼むことにしました。
米がおひつから皿に盛られます。日本の粘りのあるお米ではなく、パサパサのお米だとはいえ、明らかに日本の1人前ではないし、これで2人前頼んでたら大変だったと2人揃って苦笑します。
チャパティは日本ではナンが主流で馴染みがないです。ただインドではチャパティが主流のようです。ナンは宮廷料理で毎日食べるものではないとのこと。その理由は精製した小麦が贅沢品であること、家庭にタンドールがないことが理由で、庶民の食べ物はチャパティのようなのです。チャパティは素朴な味で僕は好きです。
カレーはマトン、チキン、ダルの3品を注文。カレーは多すぎることもなく予想を大きく超えない量です。僕のオススメは海外ではマトンを注文することをオススメします。マトンのクセを正直に表現しているカレーが多いので、マトン好きにとって嬉しいです。
味はスパイスが強くて、舌がピリピリしたことを覚えています。とにかく辛いので、汗をかきながら水を横に手放さずの食事です。ダルのカレーがペースト状なので、日本ではなかなか食べることの少ないカレーです。あとは内臓が入っているので、それも日本では見ることが少ないはずです。海外の安い料理は内臓を使っていることが多くて、その文化も好きです。そもそもホルモン焼きが誕生したのも「放るもん」がホルモンになったわけだし。
会計はこれにドリンクを入れて2人で14シンガポールドル。1シンガポールドルが80円前後なので、1100円前後です。20シンガポールドル前後かなと思っていたし、それでも安いくらいなので、かなりビックリな金額です。この金額から考えると何も考えずに入った店が、ローカル中のローカルでした。値段が満足度をさらに後押ししてくれましたとさ。
後日、店を調べるとインド料理ではなく、バングラデシュ料理でした。
インドの中でも北と南で料理の特徴が違ったりするのですが、日本人の僕にとってはカレーはカレーであるように、インド周辺国のカレーもカレーで変わりはないわけでして、気がつかないのも無理はないです。ただバングラデシュ料理だったようです。インドカレーが好きであれば、インド周辺国のカレーは好きだろうし、カレーという概念があって、あとは各自で解釈するから、ここまで広まって人を魅了するのでしょう。
日本全国、世界各国の知らない土地に訪れたならば、まずはカレーを食べましょう。
その土地でカレーを食べれば、その土地の文化もわかるし、コミュニケーションもとれます。
ガイドブックを見ずに、ウェブで検索せずに飛び込みましょう。それこそが最大の楽しみです。