決戦直前。カレー店で呆然と立ち尽くす
全国各地、世界各国にバック一つで飛び回るレスラー生活。
今回の舞台は大阪です。大阪といえば何かと聞かれるとやしきたかじんの「大阪恋物語」と「やっぱ好きやねん」が出てきます。大阪の娘とよろしくやっていたときがあったのだけれども、歌詞のように「きつく抱いてよ 今夜は」とは言わないのですよ。あっさり抱かれてんじゃないよ。ぼけ。
食べ物はと聞かれると、お好み焼きを食べておくかとはなるけれども、得意かと言われると苦手ではない程度なのが正直なところではあるし、大阪の好物はいまひとつ出てこないです。大阪好きなんだけどね。
大阪の会場でよく使われるのが、エディオンアリーナこと大阪府立体育会館です。
プロレス、格闘技ではよく使われる会場です。大阪の格闘技といえばこの会場です。大阪での興行は鬼門とされてきたのですが、新日本プロレスが大阪城ホールを満員にし、K-1が大阪府立を満員にしたこともあって、近年は大阪の興行を各団体が大切にしている印象です。
大阪府立体育会館にくると行くカレー屋さんがあります。
大阪府立体育会館前にある「上等カレー」。今は全国展開していて、関東にも出店しています。ただ僕にとっての「上等カレー」は大阪府立の前で食べるものなので、関東に出店したと聞いても、素直に足が向かうことはないのです。勝手に自分が決めているだけなのだけれども、その土地に行ったから食べるものってあると思うのです。その土地で食べるから特別というか、東京駅で全国のお土産が買えるけれども、ならば東京駅で買えばいいとはならないのと同じような感覚だと思います。
上等カレーは甘辛いルーがポイントでその日のコンディションに合わせて、トッピングをチョイスするスタイルのお店です。近年はトッピングなしのカレーライスに福神漬けをたくさんのせるのがきまりです。
大阪府立体育会館に予定入り時間の16時よりも1時間早い15時に到着します。
1時間早く到着するために前の撮影の仕事を早く終わらせたのだし、そのためのスケジュールを組んでいました。すべては上等カレーを食べるためだし、上等カレーのエネルギーを糧にプロレス団体DDTの頂点のベルトである「KO-D無差別級」のベルトを賭けて王者竹下幸之介選手と対戦します。カレーを食べるために前の食事も量を調整していたのだし、ここまでのペースは完璧ですべては予定通りにきていました。あとはカレーを食べてベルトをとるだけなのです。時はきた。
店の前に着くと「仕込み中」の張り紙が貼ってある。
何なのか把握するまで少し時間がかかった。真っ白になると人はいうけれども、まさにその通りで言葉を失っていました。出てきた言葉といえば「マジかよ」だけであって、好事魔多しとはこのことなのだろうと思うのです。36歳のおじさんが店の前で呆然と立ち尽くしているだけでも不思議な光景だとは思うし、追い打ちをかけて暴れるわけにもいかないので、落ち着きを取り戻して適当な腹ごしらえをして会場に向かいました。試合は16分45秒逆エビ固めでの敗戦。カレーを食べていればと思うことはないです。そこまで都合よく自分の敗戦を自分以外のせいにする能力は持ち合わせていないのです。
東京には世界各国の様々な食べ物があります。タイ料理も韓国料理も東京で食べるクオリティは現地で食べるクオリティと変わらないし、日本人向きにされている分だけ東京で食べた方が美味しく感じるときさえあります。ただその土地で食べる楽しさ、美味しさもあるのも事実です。
これに関しては食べて美味しいかどうかよりも、体験が大切になってくると感じています。
その土地でその店に行って食べる体験はその体験をしないと得られないものであって、失敗してもそれはそれでいい思い出になるし、それ自体がコンテンツだと考えています。東京には世界、全国各地のものがあって便利で美味しいけれども、体験を大事に生きていくことで豊かに生きることができるのではないかと考えています。
理屈こねくり回しましたが、食べたいものを食べたいときに食べましょう。
2019/10/13のONE Championshipにて青木真也さんの試合が決定。
Abema TVにて完全生中継。詳細はこちら。
どうぞお見逃しなく!