生産者さんにカレーを贈る、という実験。
今年は日本の歴史的に見ても天災を受けた苦い年でしたね。日本の一次産業の方々が甚大な被害を受けました。
グレタ・トゥンベリさんが言うように地球温暖化が進み、来年も同じような天災がおきるのでしょうか?
最近やたら実体験的にも、うまいものの価値が変わった気がしてるんですよね。
本当に生産者さんと仲良くしないと「うまいものが食べられなくなる」と思っています。
サロマ湖の菊地さんと僕のカレー。
一昨年から僕はサロマ湖のブランド牡蠣「COYSTER(コイスター)」を冬になるとお取り寄せしています。きっかけは、クラウドファンディングで “サロマ湖の漁師は小さい一年ものの牡蠣を好んで食べる”という絶妙に謎めいた地産地消あるあるを知ってしまったから。
一般的には牡蠣ってまるまる大きい肉厚なのが好まれますよね。味も濃厚で牡蠣は海のミルク、岩牡蠣は海のチーズとかって言われるし。市場に出回る牡蠣は大体2年以上で、そういう大きさになってから収穫するそうです。でも、コイスターは1年で身が小さいままのものを収穫している、いわば育ち切ってない牡蠣なんですよ。しかも、それを漁師さん達は好んで食べてると言う。
謎。もう、超謎。僕のなんでよー!?が止まらない。
クラウドファンディングで支援して、速攻でコイスターの試食会イベントに行きました。
コイスターは本当に美味しかった。ミルキーさは薄いけど旨味が凄いんです。噛むと幸せが寄せては返す波のよう。重たくないから毎日食べられる。ポン酢が超合う。牡蠣って食べ過ぎると痛風になるらしいけどコイスターはそんなことなさそうです(※個人の感想)。磯臭い感じもしないので牡蠣が苦手な人でも全然大丈夫じゃないかしら。
極寒で育てているし、殻は剥いて卵ついてる牡蠣は分けて出荷するから、いわゆるウイルスとかで食あたりになる確率は相当低いそうです。サロマ湖周辺の人口も少ないからノロ感染の牡蠣になる心配は殆どないとか。良いことづくめ。そして、僕は白ワインと日本酒をガバガバ飲んだのでした。
コイスターが気になった人は、湧鮮館さんで買ってみて下さいね。→通販はこちら。
コイスターは湧別でも希少で湧別漁協組合員が171名いる中でコイスター生産者は14名しかいないんだそうです!
今は売ってるぞ!季節ものだから急げー!
と、そんなこんなでコイスターに惚れちゃって、COYSTER MASARA(コイスター・マサラ)ってカレーを作ってみたんです。
旬の芽キャベツを合わせたり、コイスターを具にするのと刻んでグレービーに入れるのと分けたりして、結構凝ったカレーにしました。そしたら、facebookを通じてうちの奥さんにサロマ湖の菊地さんって漁師さんからメッセージが届きました。
野尻さんという方はうちの奥さんの元上司で、うちの奥さんがコイスターの投稿をシェアしてたら、それを見つけて連絡をくれたのでした。急展開で胸がキュンキュン。
それからというもの、菊地さんにはコイスターやホタテの美味しい食べ方を教えてもらったり、趣味のバイクで娘さんとツーリングしてる菊地さんの姿にいいね!したりと、もうほぼ親戚。さらに言うと、僕はその牡蠣やホタテを使ってカレーを作るんですが、菊地さんは、自分が作った貝達がカレーへと変身していく様が楽しくて、嬉しいと連絡をくれるのです。
このハッピーな連鎖わかる?とっっっても尊いでしょ?
と、ここまでは「東北食べる通信」が築き上げてくれたことの追体験みたいなもんですが、やっぱり、触れると違いますね。実際に生産者である菊地さんとこういう関係ができて、なんとなく日本の一次産業の未来を考えるようになりました。
金出しても、うまいものが食えなくなる?
農家や漁師の高齢化が進み、引き継ぐ人も減っているので、日本の一次産業大ピンチ!ってのは、もうみんなが知ってる難題です。そもそも日本全体が高齢化、人口減少を憂いているんだから、そりゃもう超難題です。
農業は若手が生産量自体を伸ばしているので衰退産業ではないってデータもあるようですが、それでもその農業のプレイヤー自体が減ってますから、継続的な需要と供給を考えると安心できない。
輸入品で補填する案もあるけど、フェアトレードでオーガニックなもん食べていこうって流れがバンコクにも当たり前にあったし、海外から簡単に輸入できる食料品はだんだんと限定されるんじゃないかな。遺伝子組み換えの食品とか。
他にも移民を受け入れて一次産業のリソースにまわすって考え方もあるのかもしれない。ここは応援してるんだけど、英語が苦手な国民性と日本より金を出す国との競争もあったりして、そんな簡単?てなりそう。前に仕事で調査したけど、少なくとも医療の現場はそこでつまずいてました。
このままいくと実際どうなるんでしょう?
可能な限り美味しいものを食べて前のめりになって死にたい僕みたいな人は不安な気持ちでいっぱいじゃないでしょうか。
なんとなくですが、単純に作る人や捕る人が減るんだから当然生産量が減るでしょう?そうなると日本の食品の農作物や海産物、畜産物の値段が上がって、同時に一次産業の人達の価値が上がったりしないですかね?で、イニシアチブ(主導権)が変わったりとか。
これまでは農協とか、商社の人達とか、バイヤーとかがパワーバランス的には上で一次産業から生まれる商品を買い付けてたんでしょうけど、
「なんで、おまえに売らなきゃならんのよ?」
ってカードを一次産業の人達が持つようになる、みたいな。
大量に継続的に買っていく太いお客様は大事なので、そう簡単に仕組みや体制として急変しないだろうけど、2025年問題にぶつかって高齢者が引退して本当に生産者が減っちゃうと現実味がある気がする。天災が増えるようになったら余計に。
だから、これからは、うまいものとの巡り合わせって、金よりも生産者さんとの距離だと思うのです。
今よりも生産者さんの近くにいないと、美味いものは食べられない。
関係が築けてる人にしか、うまいものはまわってこなくなる。
これってちょっと怖いところもあるけど、友達には分ける感覚と同じでもあります。
けっこう、いい感じの世界じゃないかな。なんでも金で買えるってのは卑しいし。
生産者さんにカレーを贈ってみる
で、どうやったら生産者との距離を縮められるかを僕なりに考えてみまして、ある実験をしてみたいと思います。
それは、生産者さんから直接買わせてもらった商品をカレーにしてお返しをするということ。
自分が作ったものが、カレーになって返ってきたら、なんとなく生産者さんも、テンションぶち上がって、うれしたのし大好きになってくれるんじゃなかろうかと。いい関係が築けるんじゃなかろうかと。口に合わないって言われたら泣いちゃうけど、とりあえず、行動あるのみ。やってみよう。
第一弾はもちろん、サロマ湖の菊地さんです。
菊地さん、今年はCOYSTERカレーをチルドにして送りますからねー!
この前の台風のときも外出できなかったので、大事に冷凍しておいた湧別のホタテでカレー作ったのでした。
素材がいいから本当にちょっとしたことで美味しくなりましたよ!
枝豆とホタテのカレー。貝類はココナッツミルクに合う
つまり「カレーの恩返し」ですね。って、この名前にしちゃうと、ほぼ日刊な新聞さんの商品名になってしまうわ。あぶねー。あぶねー。
このアクションになんて名前をつけようかな?別に名前をつける必要もないかもだけど。